January 2000 - Tomohiko Kira Interview

https://web.archive.org/web/20090212180201/http://procyon-studio.com/special/mf_kira.html


【2000年1月 吉良知彦さん】

まずは恒例の、生年月日・星座・血液型などなどを教えて下さい。

1959年12月6日、射手座のB型。40台に突入でぇーい。

吉良さんには、今回の「クロノ・クロス」で、オープニング曲(ブズーキとギター)とエンディング曲(ギター)という、非常に大事な部分での演奏をしていただきましたが、それ以前にも、「ゼノギアス」というゲームのアレンジ・ヴァージョンCD「CREID」に、ミレニアル・フェアのお一人として何曲か参加していただいたことがあります。そのレコーディングが、光田との初のお仕事だったと思うのですが、その時の光田の第一印象は、どんな感じでしたか?

そうですねえ、そだちの良いぼっちゃんという感じでしたね。

今回のレコーディングで、久々に光田と一緒にお仕事をされて、「CREID」の時とは音楽的に違った印象を受けましたか? また、初対面の時と比べて光田に対する印象は変わりましたか?(それとも全然変わらない?)

音楽の印象は変わりませんでしたが、今回は光田さん一人で立ち向かっていたのですこしたくましく感じました。


ゲーム「クロノ・クロス」を、実際にプレイされたそうですが、エンディングまで辿り着けましたか?

やっとヤマネコからちょむに戻ったところです。あ、主人公の名前です>ちょむ

ゲームをプレイされたご感想を、お願いします。

ややこしい、ややこしいぞ。こんなに話でかくしてどうやって終わらせるつもりなんだあ。

「クロノ・クロス」の音楽については、どう思われましたか? ご感想を、ご遠慮なくどうぞ!(厳しいご意見、大歓迎!)

まだ途中ですが、随所に印象的なメロディが出てきます。気合いの入った仕事してるなあって感じました。オープニングの曲はムービー付きで見ると、これはもう鳥肌もんでした。あとバトルに入った時に音楽が変わらないところ(意味通じます?)が何カ所かあったけど、あれがかっこよかったです。

もし、吉良さんご自身が、今回の「クロノ・クロス」の作曲を担当されたとしたら、どんな感じの音楽にしたかったと思いますか?

僕には無理でしょう。サントラの楽曲の膨大さにことばを失いましたもの。僕がひとつの作品にこれだけのモチーフつぎ込んだら、もうたぶんスカスカの干物になって即、引退でしょう。こういう仕事に立ち向かえる光田さんの体力(言葉通りの体力と音楽的なパワー)に敬服しています。育ちの良い坊ちゃんだなんて、失礼しました。

「クロノ・トリガー」は、プレイされたことがありますか? もしプレイされているとしたら、どんな印象をお持ちですか?

やるにはやったんだけど、ごめんなさい、ぜんぜん憶えてないや。

ゲーム(スーファミでもプレステでもドリキャスでも64でも、何でもいいんですが)作品で、曲がお気に入りのものとか、オススメのものとかって、ありますか? あれば、教えて下さい。

古いですが、スーファミのゼルダや桃伝がよい思い出です。あのころのちっこくって顔も見えないキャラクターのほうが感情移入できたなあ・・・・

吉良さんは、映画音楽や、舞台音楽や、CM音楽や、その他色々な分野で楽曲提供をされていますが、ゲームの分野において、お仕事されるご予定はありますか? また、ゲーム音楽という分野を吉良さんご自身はどうとらえていらっしゃいますか?

ちょこっとまえのRPGって、たいがい音楽が全ての場面で流れてましたよね。ゲームの構成自体がシンプルで、5、6箇所、村やら町やら訪ねていって強くなったら強い敵やっつけて終わり、ぐらいの平和な時代にはそれでもよかったのでしょうが、ストーリーが複雑になり、平行世界だの別の自分だのでてきてシーンがそれこそ山のようにある今のゲームでそのいちいちに別々の音楽をつけていると、もうえらいことになりますね。一人の作曲家が一生かかって作る分くらいのモチーフが平気でひとつのゲームで消費されてしまいます。光田さんはこの問題にどうやって対応して行くんだろうと思っていたら、クロノクロスでは音楽のないシーンがけっこうありましたね。ああ、こういう方法もあったんだ、新鮮でいいなあ、と思いました。そしてもっともっと削れないものだろうかと思いました。たとえば荒野を歩いているときにも音楽なしで、風の音や雷が鳴っていたりする中を淡々と進んでいって、村に入っても人々の喧噪や、夜だったら犬の声とかしかしなくて、戦うときも息づかいと剣を交える音しかしない。勝ってもファンファーレとか鳴らずに苦い気持ちをかみしめる。そんな音楽の出てこないゲームってないものだろうか。リアルでいいと思いませんか?そしてここぞ!という場所に入魂の名曲をぶつけてみるというのはどうだ・・・、勝手に盛り上がってますけどそんなゲームあったらいいな。そんな仕事してみたいな。

吉良さんは、“音楽”というお仕事の中で色々な活動をされてきましたが、その中でも、“ライフワーク”と言えるのが、ザバダックというユニットで創り出す音楽だと思います。以下、そのザバダックについて、ご質問します。このHPをご覧になられている方々には、ザバダックの音楽をご存知な方も多いように思いますが、「全く知らない」という方のために、まずは簡単にザバダックのご紹介をしていただけますか?

もう15年も活動を続けているあやしいバンドです。いや、はじめは3人のバンドでしたが、2人の男女ユニットになり、いまはひとりユニットという不思議な呼ばれ方をしています。僕はメンバーとサポートの境界のあいまいな、僕を核に持つアメーバーのような存在としてZABADAKを認識しています。つまり一度でも関わった人は既にその一部になっている、ということです。怖いですねえ。

(2人ユニット時代の相棒であった)上野洋子さんの存在というのは大きかったですか? それとも、もうお1人になってから6年も経っていると、ご自分のスタイルが確立していて、過去のザバダックにはあまり興味がありませんか? 現在の吉良さんにとって、1人ユニットになる前のザバダックとはどんな存在なのでしょう?

上野の存在というよりも、誰かと8年ものあいだ何か共通のものを目指した、という事実が重かったです。そしてそれが無くなったときの喪失感に折り合いをつけていくのにずいぶん時間がかかったように思います。8年って小学校1年生が中2になっちゃう時間だもんなあ。

今までのザバダックの作品で、一番のお気に入りはどれですか?

それは秘密です。

もうすぐ、待望のニューアルバムが発表されますね(1/20発売)。それについて、吉良さんのほうから、聴きどころなど、教えてください。(噂によると、かなりのプログレとか?)

のれんわけ(上野洋子が抜けたことは脱退とか卒業とかでなく、こう言われております。)以降のZABADAKは身軽になったということもあって、いろんな事を試してみました。それまでにはあり得なかったタイプの曲をやってみたり、出会うミュージシャンとかたっぱしからセッションしてみたり。おもしろかったんですが、その結果、自分でもZABADAKがなんなのかよくわからんようになってしまったのです。もういちど振り出しに戻ることにしました。それはメロディだけ考える、っていう単純なことなんだけど、僕にとってZABADAKはやっぱりメロディありき、なので、そこんとこをゆっくり考えて作ってみることにしました。そして半分以上インスト、というZABADAK史上初めてのアルバムが出来上がりました。振り出しに戻っているので、僕の気分はデビュー当時のまんまです。このアルバムがこのさきどんな評価を受けていくのか、巣立ったばかりの雀の子のように不安でいっぱいです。何言ってるんでしょう?僕は、

今回のアルバムの制作は、いつ頃から始まったのですか? その経緯などを教えてください。(本からインスピレーションを受けたとのことですが?)また、今回「クロノ・クロス」においても共演なさったみとせのりこさんも、1曲コーラス参加されているようですが、その辺のエピソードも教えてください。

モチーフ自体は数年前にできていたものや、もっともっと大昔にさかのぼるものがあったりしますが、それらに意味を与え、道をつけ、ひとつの作品へと導いてくれたのは鈴木光司さんの小説「楽園」です。みとせさんは5年ほど前にキルシェのライブを見て知っていたのですが、その時の演奏がかなりへなちょこだったので、今回光田さんとのセッションで再会するまであまり興味がなかったのです。ところがそこでいただいた新譜のテープを聴いて、驚いてしまったのですよ。ひとは成長するものなんであるなあ、と思ったわけですよ。いいじゃあないか、と思ってしまったわけなんですよ。これはぜひとも僕のほうにも参加してもらおう、とまあ、いきさつはこんなですね。クロノ・クロスの共演がなければ彼女のZABADAKへの参加もなかったわけで、どうもでした。

今回も、奥様(小峰公子さん)は、たくさん参加されているんですか? また、お子様(草太郎くん)が登場される曲もあるそうですが、それはどんな曲なのですか?(ちなみに、草太郎くんは、唄で参加されているんでしょうか? それともしゃべり?? 雄叫び???)

小峰はあいかわらずかなり出てきますねえ。はじけとんでますね。

草太郎は歌ってるらしい、のですが、あれを歌と認識できるのは判断力を失った彼の両親だけだと思います。

草太郎くんはお元気ですか? 最近、面白かった事件など、ありますか?

元気です。一日中しゃべってます。はっきりいって五月蠅いです。

彼は電車に夢中で、トトロの「あるこーあるこー」の歌を

  「あるこー、あるこー、そうちゃんはーげんきー、    でんしゃがー、だいすきー、どんどんゆこおー    なんぷう、うわかい、スーパーあずさー、    ゆふいんのもりー、いせしまーらいなあー(以下延々電車の名前が続く)」

こんなふうに替え歌にしたりして楽しそうにしています。

小峰さんもお元気ですか?(笑) 最近の面白い日常夫婦ネタなどをひとつ!!

元気です。日常夫婦ネタねえ、ないなあ・・・。草太郎を保育園にあずけてふたりでゴハンを食べに行ったりすると、必要以上に解放された気分になって、昼間っから生ビールを頼んでしまうふざけた親たちであります。あ、そういえば、某宗教団体にまつわるネタ。

教祖「そこそこですかーあ?」信者達「そこそこでーえす!」

やばかったらカットして下さい。

吉良さんが最近プライベートでよく聴くCD、あるいは、お気に入りのCDなどありましたら、教えて下さい。(やっぱりプログレでしょうか・・・笑)

うーん、ぜんっぜん聴いて無いなあ。

そういえば最近音楽で感動してないなあ、やばいなあ・・・

では、そろそろ締めに入りますが(笑)、今後、もし光田と一緒にお仕事をされるとしたら、どんなことをやってみたいですか?

お手伝いみたいのじゃなく、もっと濃いーく関わってみたいです。

あと光田さんのライブにはぜひ参加したいです。

今後の光田に、吉良さんから一言どうぞ!

0NE AND ONLYの光田ワールドを目指して下さい。

これをご覧になられている皆さまへ、吉良さんからお言葉をおねがいします。(きっとザバダックファンの方もいらっしゃると思いますので・・・)

光田さんの音楽とZABADAKの音楽、遠いようで近かったり、近いようで遠かったり。微妙な距離感を、ぜひあなたの耳で確かめてみて下さい。共通項は「にほんのおんがくの良心」・・・かな。

ありがとうございました!

こちらこそ、ありがとうございました。                      1999年12月24日 吉良知彦

皆さま、ザバダックのニューアルバム「iKON」、買いです。イケてます。ザバダックを知っている方ならよくわかる、本当に吉良さんならではの、ザバダックならではの、プログレです。知らない方にもオススメします。日本の音楽シーンにおいて、こんなことやってるバンド、そうそういません。(ある意味、唯一無二?)更に、光田の音楽を愛して下さっているこのHPのお客様なら、きっとそこに光田と同じ魂が宿っていることを体感するでしょう。そしてこの「iKON」、もしお気に入りましたなら、周りの人、少なくとも5人に広めましょうね。その人達もまた、それぞれ5人の人に広めましょう。(これは、吉良さんからの指令です。オソロシイです) ・・・というわけで、吉良さん、今回はどうもありがとうございました。相変わらずマイペースな吉良さんのお言葉、話していらっしゃるお姿が想像できそうでした。これからも、光田と良き音楽仲間でいてくださいね。 では、光田からも、吉良さんへのコメントをしてもらいましょう。

吉良さんとは不思議なご縁で(笑、今は内緒)「CREID」から一緒に音楽を作ることになったのですが、僕が最初に吉良さんのギターを聞いた感想は、「こんな癖のあるギターを弾く人はそうそういない!」でした。「CREID」で味をしめた僕は今度の「クロノ・クロス」でも絶対に参加してもらおうと最初から企んでおりました。ふふふ・・・吉良さんの予定もなかなか空かずに(ちょうどその時期ライブがあり、忙しかったようです)無理矢理、休みの家族サービスを捨てて頂いて、レコーディングにお付き合いしていただきました。(小峰さんゴメンなさい)その節は、本当にありがとうございました。今後は是非、もっと深~いところで制作に携わって頂きたいとおもいます。っていうか是非一緒にアルバムを作りましょう、今年!2000年ですし・・・(深い意味はありません)。では今年もよろしくお願いします。


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